2008年06月21日

共同体の崩壊→コミュニティの再構築が課題

 6月9日に、「風」さんが、以下の投稿を下さいました。

 <認証のオートロックシステムや防犯カメラシステム・ホームセキュリティーシステム等・・・、ありとあらゆる近代的な設備が開発されてきて、入居者本人で無いと建物に立ち入れない仕組が人気に成ってきました。そのことで確かに、セールスマンの立ち入りや不審者の立ち入りは防ぐ事ができるように成りましたし、急な来客もめったに訪れないので、プライバシーの確保やフリーダンスの確保という事では優れて来ました。

 しかし、先月の東京・江東区のマンション殺人事件や、今月8日の東京都千代田区外神田4の秋葉原通り魔殺傷事件など、都会の安全性の基準が壊れ始めているような気がします。どんなに設備や機能にお金を掛けても、社会的な基盤が壊れてしまっていては、確かな安全は保証されないでしょう。資本主義の限界と他人任せの政治や行政運営が、如何に危険で理不尽な社会を作り出すかを感じてしまいました。(大事な事は、人任せにしないで自分自身で確かめる事です。)>

 この間、偶々起こった①江東区マンション殺人事件と、②アキバ大量殺人事件という2つの「非日常」を通して、我々は、<「非日常」を通してはじめて「日常」の問題点が透けて見える>ということを体験して来ました。そこに見られる共通項は、①マンションという空間における隣人との関係の希薄化→崩壊、②工場における仲間=同僚の関係の希薄化→崩壊寸前の状態でしょう。①においては、鉄筋の近代的マンションの内部から犯罪は起きており、決して「外からの」脅威だけを考えていても安全は保障されないということ、②においては、雇用者(=派遣会社)と管理者(=工場現場の会社)の完全分離により、労働者の「団結」の根拠(=共通の制約者に対し力をあわせて立ち向かうという構造)が失われているのではないかということを感じます。

 ①昔の長屋や、集合住宅には見られた「隣人との関係=地域性」が現代の高層マンションには失われ、狭い意味での「機能性」のみが優先される。②昔の工場に見られた「仲間意識」が工場の中で失われ、1日の仕事が終わって住居に帰り着いても、そこに家庭はなく、派遣会社借り上げの「寮=アパート・マンション」があり、安らぎどころか孤独だけが押し寄せる日常で、病気になって休んだら給料が減り、家賃=寮費が払えなくなり、寮から速やかに立ち退くことを強制される。昔の、工場に隣接する「労働者住宅街」といった環境からは程遠いものになっている。

 両者に共通するのは、「旧い共同体」の崩壊である。そして、そこに「新たな共同体」再構築の兆しはカケラもない。

 ここで、今後の長い議論のために、仮に「旧い共同体」を単に「共同体」と呼び、「新たな共同体」を「コミュニティ」と呼ぶことにすることを提案したい。

 そう、課題は<「共同体」の崩壊と、それに代わる「コミュニティ」が再構築されていない>ことによる様々の社会的悲劇&従来なかったようなタイプの凶悪犯罪の防止→「コミュニティ」の再構築による新たな社会の建設ということになるではなかろうか?

 この間多発する「親殺し」「子殺し」「親族殺し」などは言うまでもなく「家族共同体」の崩壊であり、そして個別の「家族共同体」を支える「地域共同体=地域社会」の不存在である。村や町の「地域社会」が希薄化し、「労働者住宅街」という「地域社会」が消失し、「三丁目の夕日」の光景が全国津々浦々、どこにも見られなくなっているのである。この映画がもてはやされたのは、そうした過去への限りない郷愁が人々(特に中・高年層)の心に深く渦巻いていることを示している。

 だが、一旦破壊され崩壊した「共同体」や「地域社会」は、そのままではもう戻って来ることはない。これらの崩壊をもたらしたのは何か?それは「資本主義」の力そのものに他ならない。中世ヨーロッパや江戸時代までの「共同体」「地域社会」を崩壊せしめて来たのは「産業革命」であり、帝国主義戦争の遂行を含めた近代・現代資本主義、日本では戦後の高度成長の猛威であった。こんにちでは、中国・インドがまた、そのコースをより大規模に歩み出しつつある。

 このような「共同体」を破壊する巨大な力に対抗して、我々現代人は、極めて意識的な「コミュニティ」再構築の努力・工夫を重ねて行かなければならないと思う。「風」さんが提案される「コーポラティブハウス」の試みも小さなその工夫の一つではないかと思われる。もう少しその辺の社会的意義も強調されるといいのではないかと感じます。

また、「草の根世直し隊」は例えば、主に現役を引退された高齢者が中心となって、地域で子供の通学路を守る運動なども、起こすことが出来るのではないかと考えている。「老人世直し隊」は、様々の工夫とパワーにより、これから、誰も想像出来なかったような大きな社会的力を発揮しうるのではないだろうかと予感します。また、我々の力は直接には及びにくいが、「連合」をはじめとする「労働組合」が、「派遣労働者」の問題に真剣に取り組み、労働者の地域や工場内外における「コミュニティ」再構築の動きを強めて行くことを切なる気持ちで提案したい。 <哲>



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Posted by 代表:岩井哲 at 03:56│Comments(0) │日本の事
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