2008年06月28日

僅か32例のサンプル調査で母子加算廃止!

 昨日見た「老齢加算廃止」は、既に今年4月までに段階的に廃止されたものであるが、現在削減進行中である「母子加算廃止」についても併せて見ておきたい。

 まずは、「定義」から・・・

 <母子加算:父母の一方、または両方がいない世帯で子どもを養育しなければならないことに対応し、子どもの健全な育成をはかるために上乗せ支給されるものです。対象となるのは、子どもが十八歳になった年の年度末まで。適用件数は八万九千二百九十四件(二〇〇三年七月現在)。加算額は、東京二十三区(一級地)で在宅、子ども一人の場合、月額二万三千二百六十円です。

 そして、2007.2.26付けの「livedoor.Blog」は、以下の記事を伝えています。

 <厚生労働省は29日、国費ベースで約2兆円の生活保護費を来年度予算で400億円削減する方針を固めた。一人親の家庭の給付に一律上乗せしている「母子加算」を3年で段階的に廃止する。また、持ち家に住んで生活保護を受けているお年寄りに対する支給をやめ、自宅を担保に生活資金を貸し付ける「リバースモーゲージ」制度を導入するなどして、国庫負担を削減する。04年度から段階的に廃止された老齢加算に続き、母子加算も廃止されることで、「最後のセーフティーネット」のあり方が問われそうだ。>

 確か制度制定の趣旨は、「最後のセーフティネット」として、次のような内容ではなかったか。

 <老齢加算:「老齢者は咀嚼力が弱いため、他の年齢層に比し消化吸収がよく良質な食品を必要とするとともに、肉体的条件から暖房費、被服費、保健衛生費等に特別な配慮を必要とし、また、近隣、知人、親戚等への訪問や墓参などの社会的費用が他の年齢層に比し余分に必要となる。」(昭和55年12月中社審生活保護専門分科会中間的取りまとめ)>

 <母子加算:「母子については、配偶者が欠けた状態にある者が児童を養育しなければならないことに対応して、通常以上の労作に伴う増加エネルギーの補填、社会的参加に伴う被服費、片親がいないことにより精神的負担をもつ児童の健全な育成を図るための費用などが余分に必要となる。」(昭和55年12月中社審生活保護専門分科会中間的取りまとめ)>

 これらの老齢加算・母子加算の根拠とされた事情が、約20数年を経て、どのように変化・解消したというのだろうか?派遣労働の蔓延、物価上昇などなどにより、全社会的にますます低所得層の困窮の度は深まり、生活実態は年々悪化の一途を遂げつつあるのではないか?

 そして、「しんぶん赤旗」(2007.4.30号)は、以下のように伝えています。

<全国生活と健康を守る会連合会は二十五日、政府のすすめる生活保護制度の基準や実施要領の「改定」について、厚生労働省と懇談し、制度を改悪しないよう求めました。・・・ 厚労省の担当者は、母子加算を削減する根拠にしたのは、総務省の行った全国消費実態調査をもとに、生活保護を受けている世帯と同程度の母子世帯の消費水準を比較した結果、生活保護世帯の方が消費水準が高かったからだと説明。対象にしたサンプルは「三十二世帯」と答えました。>

 つまり、たった32例の「サンプル調査」なるものをもって、また比較の対象を生活レベルの低い「一般母子所帯」と設定して、それより幾分か高いから削減しなければ「不公平」だと言うのである。これは、厚労省のお得意の手口である。実に僅少な「サンプル調査」なるまやかしで、事態の真相を押し隠し、政府に都合の良い数字を捏造する、というのは、かの年金問題でイヤというほど国民が見せ付けられてきたことではないのか。また、それ以上に、低い方に合わせて「不公平」を解消するという「弱者イジメ」の論理がまったくもって許せない、と言うべきである。 <哲>





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Posted by 代表:岩井哲 at 12:00│Comments(0) │日本の事
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