2008年07月10日

「飽食日本」はこのままでいいのか?サミットに照らして

豪華ディナーで食料危機討議=サミットは「偽善的」-英各紙 【ロンドン8日時事】

 <豪華ディナーを囲んで食料危機問題を討議-。8日付英各紙は、7日に始まった北海道洞爺湖サミット(主要国首脳会議)を、こう皮肉った。
 各紙ともキャビア、ウニといった高級食材をふんだんに使った昼食・夕食会のメニューを大きく掲載。「多くの人が必要な食べ物さえ手に入らない中で、サミット首脳らは豪勢なコース料理を食べている。偽善的だ」とする英民間援助団体セーブ・ザ・チルドレンの批判コメントを紹介した。(2008/07/08-20:36)>

 ★サミットの宮中晩餐会かと見紛うばかりの豪華なテーブルは、世界の飢えたる人々のみならず、相次ぐ物価上昇にあえぐ日本の多くの国民の目をも奪うものであった。英紙ならずとも、この様子には疑問と批判が渦巻いてもおかしくはなかった。

 だが、この「飽食」は、民の現状を忘れた、世界の首脳だけの問題だろうか?日本の国内において、「食糧危機」はどのように認識され、克服されようとしているのだろうか?

 この稿では、取り急ぎ「国内の食糧廃棄量」について、概略の数字を押さえておきたい。以下は、「New's Bird」ドクター月尾の「地球の方程式」2005年3月3日放送の「食糧安全保障」からのデータである。

 ●国内食糧生産   :1500万トン
海外からの食料輸入:5800万トン
 ●国内での食糧廃棄 :2000万トン
加工段階      400万トン
流通段階      700万トン
消費段階      900万トン
 ●世界の食糧援助   1000万トン

 かなり雑ぱくな数字であろうが、しかしおおよそのことは見て取れる。
ここから分かることは、いかに日本人が「飽食」を極めているかということに他ならない。諸外国の数字まで掴んでいないので、比較論議で述べることは出来ないが、世界の何億人もの人々が飢えに苦しむ一方で、日本人は極度に「飽食三昧」を続けているということは確かだ。

 ★そこで気になるのが、この間、日本の報道で大いに騒がれている「賞味期限」「消費期限」「産地偽装」「食の安全」等の問題である。報道では、「食品業者のモラル」が問われ、今朝のテレビでは、ついに青森の食肉業者が、「みんなやってることだよ」とかなりあっけらかんとした「開き直り」を見せていた。

 だが同時に、昨日のテレビでは、「・・期限」を過ぎたモノの多くに混じって、「・・期限」前の食料品までが、大量にダンプカーで運ばれゴミ処理される場面の映像が繰り返し放映されていた。処理の担当者は、口々に「まだ食べられるんですがネー」「勿体ないですねー」と語っていた。これらの廃棄量が、日本全国で何と2000万トンに上るのだという。これは更に、世界の食糧援助量の2倍にも上るという。

 ★確かに「食の安全」は重大な問題である。我々の命にダイレクトに関わる問題である。その意味で、中国の「ギョーザ問題」は(外交問題を除いても)極めて重大な問題であった。しかし、「飢餓」はそれ以上の問題ではないだろうか?「食べられないこと」「食べるものがないこと」・・・この問題が、現代の「飽食日本」では余りにも見過ごされて来ているのではないかと思う。「食品業者」のモラルを語るとき、「・・偽装」を語り非難するとき、同時に「飢餓」に苦しむ同じ日本の、そして世界の人々の問題は一体どう認識されているのだろうか?

 確かに「吉兆」の不正もあろう。他人の「食べ残し」を「使い回す」のは「モラル」を逸脱したやり方だと非難されてしかるべきであろう。だが、その周辺で、余りに多くのことが「行き過ぎて」はいないだろうか?我々日本人は、ここらで少し頭を冷やして、「一体何がモラルなのか?何がアンモラルなのか?」をもう一度、「食の原点」に立ち返り、”世界の人々の共生””日本の中では勿論、世界の人々がどうやったら飢えることなく食べて行けるのか?”の観点から、しっかり考え直すべき時が来ているのではなかろうか?

 私は、今回のサミットが露呈した「ウニやキャビア」の問題の背後にある、我々日本人自身が抱えるより深刻な問題を、自らしっかり見直すべきではなかろうかと考える。皆さん、この問題につき如何お考えですか?  <哲>



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Posted by 代表:岩井哲 at 19:36│Comments(1) │日本の事
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保存食として代表的なのがインスタントラーメンです。他にも多くの商品がありますが、量に比して価格が割高です、それは保存技術や利便性が付加されているからでしょう。家庭で和食が減り、味噌汁を飲まない、パンやコーヒーが中心となれば、その裏では農産物の生産、輸入に変化が起こるのは当然です。幕末の農村で米から蚕に、茶や煙草生産に急速に傾斜した、それは金になる、外国に高く売れたからでした。その意味で米を基本とした経済から貨幣と貿易経済への変化が幕藩体制崩壊の理由の一つかと思います。さて、例えばコンビニで何時でも商品を得られるということは、逆にいえば何時でも失うということです。多少の不便を甘受するだけで随分違うと思います。便利とは進歩と、そして堕落を含有しているのです。
Posted by 深川扇橋 at 2008年07月11日 07:50
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