2008年08月10日

これでいいのか?中国に翻弄される「ギョーザ事件」への対処

 ☆8月6日の「産経ニュース」は、以下の記事を伝えました。

 <天洋製回収ギョーザ、中国で中毒 メタミドホス現地混入強まる

 ギョーザ中毒事件後に回収され、「天洋食品」の冷凍庫に山積みされたギョーザ=2月、中国河北省石家荘市 中国製ギョーザ中毒事件で、製造元の天洋食品(中国河北省)が事件後に回収した冷凍ギョーザが中国国内で流通し、ギョーザを食べた中国人が有機リン系殺虫剤「メタミドホス」による中毒症状を起こしていたことが分かった。

 複数の関係筋が6日、明らかにした。中国公安当局は2月末、「原材料、生産、輸送過程で異常はなく中国国内でメタミドホスが混入された可能性は極めて小さい」との見解を表明したが、日本に輸出されていないギョーザからメタミドホスが検出されたことにより、中国での混入の可能性が強まった。日本政府は外交ルートを通じ、中国側に事実関係を確認するとともに、より一層の捜査協力を求めていく方針。

 福田康夫首相は6日午前、広島市内のホテルで記者会見し、「捜査上の問題もあるので説明するわけにはいかないが、(日中での協議が)進行中であると理解してほしい」と述べ、事実関係を暗に認めた。

 複数の関係筋によると、天洋食品は事件発覚後に流通していた冷凍ギョーザを回収したが、その後市場に再び流通したという。今年6月、このギョーザを食べた中国人が有機リン系殺虫剤によるとみられる中毒症状を訴え、その後の調査でメタミドホスが原因だと判明したという。被害者の人数や詳しい症状などは一切明らかにされていない。

 中国側は7月初めに外交ルートを通じ、この事実を日本政府に伝えていた。>

 ★日本国民誰もが眼を凝らして注目してきた「中国ギョーザ事件」の新展開が見られた。中国国内で、6月、天洋食品製の「回収冷凍ギョーザ」を食べた中国人が、メタミドホスが原因と見られる中毒症状を訴えたというのである。このことは、洞爺湖サミットの直前、外交ルートを通じて日本政府に伝えられ、政府は”情報提供をしてくれた中国側の要請で” 北京オリンピック開会式直前の8/6まで伏せていたのだという。

 ★また振り返れば、2月下旬、日本の警察庁次長が訪中し、「捜査協力」を確認して帰国した翌日(?)、中国の(政府関係者ではなく)捜査当局者が、”事件の原因は日本にあり”と断言するという屈辱的事態を日本の捜査当局は舐めさせられて来た。その後、胡耀邦総書記が来日した際の5/7「日中共同声明」でも、「戦略的互恵関係」は”確認”されたものの、ギョーザ事件には全く触れられていなかった。
 
 ★事件発生直後→胡耀邦来日「日中共同声明」→洞爺湖サミット→北京オリンピックという流れの中で、日中それぞれの政治的都合に左右され、日本国民の「食の安全」と「知る権利」が、両国政府、なかんずく(日本国民にとっては)日本政府によってないがしろにされて来たと強く感じざるを得ない。

 ★みんなも覚えているはずだ。外交能力が完全に欠落した「腑抜けの福田」は、2~3月頃、「中国政府は(捜査を)よくやっている」などとほざいていた。そして、胡耀邦来日に際しては、”外交的配慮で?”一切、ギョーザ問題に触れようとしなかった。

 ★そして、1ヶ月前の洞爺湖サミットに際しては、今度はサミットに傷をつけたくないという全くの自分の都合で、中国からの”捜査情報”をもみ消した。さらに今度は、日中合作で、”捜査に支障のない範囲で”捜査情報を小出しにして、”日中双方が、オリンピック終了まで長期にわたり隠蔽した”という見え見えの事態にならぬよう工作し厳しい批判を未然にかわそうとしたのである。

☆4月14日付けの「気ままにひとり暮らし 札幌生活」(Ads by Google)は、以下の記事を伝えています。

 <天洋食品解散か

 メタミドホスが混入した冷凍餃子を製造した天洋食品が、生産加工部門の全員300人を解雇したと11日明らかになった。
天洋食品は2007年度の生産が全量日本向け輸出品であるので、従業員の解雇は会社解散への準備と思われる。
生産加工部門の全員解雇は今後の捜査の大きな支障となり、このままではおそらく今回の事件の原因は判らずじまいとなってしまう気がする。>

 ★だが、この事件処理の核心中の核心は、天洋食品の生産加工部門の全員300人が4月初旬に全員解雇され、皆が散り散りに出身地の田舎へ帰されてしまった(その有様を当時のテレビが映し出していた!)ことである。これは明らかに中国政府による究極の「証拠隠滅」=「捜査封じ込め宣言」であった。この犯罪は、「人」による犯罪であった。しかるに、その「人」を全員闇の中に隠してしまったのである。また「組織犯罪」である可能性も高かった。この「組織」を、中国政府は「解体」し、二度と発見されないように手を施した。恐らくは、「犯行現場」となった工場施設も生産設備も、すべて跡形もなく消し去ったのであろう。これを「国を挙げての証拠隠滅」と言わずして何と言おう!

 ★そして、記事では「従業員の解雇は会社解散への準備と思われる」とあるが、果たしてそのようにことは進行したのか?良くわからない。天洋食品は、従業員約1000人の中堅会社で、販売先は日本専門であったという報道がなされているが、だとすれば倒産する以外考えにくいが、その後の報道で、実際に倒産したいう情報にまだお目にかかっていない。これは不思議なことであり、日本のマスコミにはこの点を真剣に追及する責務があると言わねばならない。

 ☆8月9日の「読売新聞」は、以下の記事を伝えました。

 <ギョーザ事件で捜査協力、日中首脳会談で一致
 
 福田首相は8日午後、北京市内で中国の温家宝首相、胡錦濤国家主席と相次いで会談し、中国製冷凍ギョーザによる中毒事件が中国国内でも起こったことを踏まえて早期解決を求めた。

 中国側も同意し、今後、日中の捜査協力を強化することで一致した。

 胡主席との会談で、福田首相は中毒事件について、「6月に中国で起きた事件とわが国の事件の関連性も含め、真相解明のための協力を強化したい」と述べ、捜査協力の強化を提案した。さらに、「日本は情報開示に強い関心がある」と語り、中国側が捜査の進展状況などを明らかにするよう求めた。胡主席も「日本と共に引き続き適切に処理したい」と応じた。>

 ★胡耀邦来日も終え、洞爺湖サミットも終え、北京オリンピックの終了も見えてきた今、すべての主要行事が終わりかけている今、「今後、日中の捜査協力を強化することで一致した」「引き続き適切に処理したい」と言われても、にわかには信じ難い。なぜなら、事件解決の最大の手掛かりが、中国政府によって消滅させられ、日本政府はそのプロセスにいささかも口を挟まず、まして抗議などせず、すべてを容認してきたからである。

 ★「福田外交」は、「外交」の名に値せず、日本に「外交」はあたかも存在しないかのようである。中国ギョーザ事件は、単なる「事件捜査」にとどまらず、日中という国境の障壁を超えて問題解決を図らねばならないという、すぐれて「外交問題」であるにも拘わらず。

 ★ことは、中国ギョーザ事件にとどまらない。原油高・国際投機マネー・地球環境問題など、すべての国際問題の取り扱いにおいて、日本の地位の相対的低下は、国力自体の低下に輪をかけて著しい。近年でも、森ー小泉ー安倍ー福田と続く、「外交音痴政権」のオンパレードが、日本を再起不能の国際的地位の低下に叩き込みかねない段階にまで来ているのではないか?一刻も早い「政権交代」が望まれる所以である。 <哲>



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Posted by 代表:岩井哲 at 08:11│Comments(0) │日本の事
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