2008年08月24日

公明党に問う!「テロとの戦い」は単なる党利党略だったのか?

 ☆2008年7月30日の「産経新聞」は、以下の記事を伝えています。

新テロ特措法、期限切れほぼ確実 公明再議決に応じない方針

▼中断に傾く大勢

 「テロとの戦いは今が正念場だ。日本に当事者意識があるかの問題だ」

 石破茂防衛相は29日朝、自民党の国防関係合同部会で海自の補給活動の重要性を訴えた。出席議員からは「イランの暴発でホルムズ海峡が有事になったら原油輸送を誰が支援するのか」(佐藤正久参院議員)など賛同意見が相次いだ。

 しかし、自民党総務会では山本一太参院議員が「中国がアフガニスタンでの『テロとの戦い』に加わったら日本は安全保障や外交の上で計り知れないダメージを受ける」と強調したが、同調する声はなかった。自民党の大勢は「活動中断やむなし」に傾きつつある。

 海自は今年1月に補給艦を再派遣後、32回にわたり計5475キロリットルの燃料を米英仏・パキスタンなどの艦船に補給し、テロや海賊対策に貢献してきた。

 海自の活動の継続には臨時国会で新テロ特措法を改正しなければならないが、昨年の臨時国会で法案に反対した民主党など野党が賛成に転ずる可能性は低い。

 加えて公明党は年内解散を念頭に「野党の理解を得られるように与野党でしっかり協議することが先決だ」(北側一雄幹事長)と衆院再議決による法改正に反対を表明。公明党の協力なしに衆院で3分の2以上の賛成を得ることは不可能で、衆院再議決は事実上封じられてしまった。

 また、公明党は8月下旬に召集予定だった臨時国会の9月下旬への先送りを主張しており、そうなれば審議時間の確保は困難だ。11月の米大統領選を見据え、「米国の今後の安保政策が見えないのに政権を賭して法改正すべきか」(閣僚経験者)との声もある。>

 ★この間の報道によれば、公明党が「新テロ特措法」の「衆院再議決」に応じない方針とのことである。これは一体どういうことか?公明党の「テロとの戦い」は終わったのか?いや、そういう問題ではないらしい。来夏の東京都議選での勝利を生命線とする公明党は、選挙と選挙の期間を出来るだけの延ばしたいらしく、「年内解散」を必須条件として、そのためには臨時国会召集を9月下旬に設定し、審議時間の短縮により、「新テロ特措法」の「再議決」を葬り去ろうとの魂胆であるとされる。加えて、民主党が狙う「矢野洵也・元公明党委員長」の国会証人喚問も封じる狙いもあるとも言われる。この「党利党略」のためには、もう「テロとの闘い」などどうにでも良くなったらしいのである。

 ★石破や佐藤らの”戦争屋"に「テロとの戦いは今が正念場だ。日本に当事者意識があるかの問題だ」と煽られる自民党国防部会の議論は別として、自民党総務会は山本一太の勇ましい議論に「同調する声はなかった。自民党の大勢は「活動中断やむなし」に傾きつつある。」とのことである。これも、おかしな話ではないか。今年に入ってからでも、5500キロリットル(これまでのトータルはどれほどの量に達するか?)もの大量の燃料を、ガソリン高騰に泣く国民の犠牲をよそに、アメリカを中心とする勢力に、日本国民の”血税”をタダで貢ぎ続けて来たのではなかったか?真に国際貢献のためであるならば、自民党は何が何でも「衆院再議決」に奔走しなければならないのではないか?

 ★何故、自民党は公明党のこの「裏切り」を非難しないのか?出来ないのか?この裏には、衆院320議席の過半を公明党のサポートによって辛うじて得ているという、自民党の最大の泣き所があるのである。

 ★公明党代表代行・浜四津敏子が名言を吐いた。曰く「公明党は、もはや(踏まれても蹴られてもついて行くしかない)”下駄の雪"ではなく、(それがなくては歩きようがない)”下駄の鼻緒”になったのだ」と。ここには、公明党の”自信の高揚”の程が、如実に語られている。上記の自民党の一見不可解な公明党への”遠慮・無気力" と、この浜四津の自信は表裏一体の関係にあると見なさなければならない。もはや、”権力政党”=自民党は、”鼻緒”に牛耳られる只の「穴の空いた木の板」に過ぎなくなっているのである。

 ★ここで、念のために公明党の姿勢変化の経過を確認しておこう。

 ☆2007年9月13日の「公明新聞」は、以下の記事を伝えています。

 <公明党の北側一雄幹事長は12日午前、国会内で記者会見し、テロ対策特別措置法に基づくインド洋上での海上自衛隊による補給活動の継続問題や、「政治とカネ」の問題などについて、大要、次のような見解を述べた。

 (海自の給油活動の継続について)テロ対策特措法の改正案でいくのか、(活動を給油・給水に限定するなどの)新法で行くのか、まだ検討中だ。政府、与党内においても議論をしている最中であり、結論が出たわけではない。

 テロとの戦いは終わっていない。国際社会の平和と安定にとって最大の脅威がテロの問題であり、いかにテロを抑止し、撲滅していくのかが大きな課題だ。

 わが国が果たしてきた、海上阻止活動をしている各国の艦船に対する給油活動は、米国だけでなく、欧州諸国、アフガニスタン、パキスタンからも高く評価されており、継続してもらいたいと要請されている。この活動を継続できるよう最善の努力をしていくことは、政府・与党において意見の違いはないだろうと思う。(公明党としては)継続すべきと判断している。>

 ☆2008年01月11日の「伊藤渉・公明党衆議院議員」のブログは、以下の記事を伝えています。

 <新テロ特措法成立

 1/11(金)、衆議院の3分の2以上の賛成により新テロ特措法が再可決、成立した。テロ対策のため実施されている海上阻止活動に対する補給活動の支援を可能にする法律だ。
 様々な議論があるが、“テロ防止”という一点は万国共通ではないだろうか。あの9・11では、20名を超える日本人も亡くなられている。決して“よそ事”ではないのだ。そうした背景の中、テロ防止のために我が国ができることを吟味し、法定したのが今回の法律。>

 ★「衆院再議決」という憲法解釈からも疑義のある重大な案件に、党の命運を懸けて関わってきた公明党が、昨年9月・今年1月の上記のコメントを翻して、こんにちそれらの経過があたかも全く存在しなかったかのように、一切口をぬぐって臨時国会の「9月下旬への先送り」に狂奔し、それに対して何一つ異を唱えきれない自民党の現状・関係は余りにも奇っ怪である。こんなものが、日本の国を支える「政権政党」=与党のありようであっていいのだろうか?

 ★こんな中で、一つだけ目を引く記事が飛びこんで来たので、少々見て置きたい。

 ☆8月20日の「産経新聞」は、以下の記事を伝えています。

 <中川秀直氏「新特措法で解散も」

 自民党の中川秀直元幹事長は19日午後、神奈川県箱根町のホテルで開かれた町村派の研修会で、海上自衛隊によるインド洋での補給活動を1年間延長する新テロ対策特別措置法改正案について「秋の臨時国会の最大の焦点だ。民主党が法案成立に抵抗するのなら、日本が国際貢献をする国家でいくか、テロに屈服する国家でいくかを福田康夫首相の手で堂々と民意に問わなければいけない」と語り、衆院解散・総選挙も視野に、成立を期すべきだとの考えを示した。

 ★同じ自民党にありながら、中川秀直は、先の内閣改造で「上げ潮派」一掃の流れで、”はみ出し者”にされてしまい、今は巻き返しに懸命である。その手段として、自民党・福田政権に(一見正論の)精一杯のイヤミを垂れ揺さぶりをかけ、自民・公明の溝にくさびを打ち込み公明党の翻意を促そうという”脅し"をかけているのである。”負け犬の遠吠え"めいたこんな脅しがどこまで通用するのか甚だ疑問であるが、自民・公明の今後を占う意味では興味深いものがある。

 ★そして、最後にマスコミについてであるが、この間の公明党の動向に関する”沈黙"は不可解である。数百万と言われる公明党の読者層に配慮しての”沈黙"であるとするならば、それはマスコミとしての"死”を意味しまいか?キチンと政権党の問題点を暴いてこそ、「社会の木鐸」なのではないか?猛省を促したい。 <哲>


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Posted by 代表:岩井哲 at 20:00│Comments(0) │日本の事
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