2008年10月05日

米金融資本主義の終焉ー驕れるアメリカは久しからず

 ★ここ数日、7連続くらいで、速射砲のように「黒騎士」さんから「サブプライム問題」に関する(素人の)私の投稿に対し、専門的な見地からコメントを頂きました。大変有り難うございます。スペースの関係で全部の載録は差し控えますが、我々門外漢の一般大衆にも分かりやすいと思われる2点を選び、以下に転載させて頂きます。読みやすいように、タイトルは、私の方でそれぞれ付けさせて頂きました。 <哲>

 米サブプライムの毒が全身に回りつつある世界金融市場→米ドルの信用はどこまで持ちこたえるか? 

 <☆サブプライム問題は、恰も長屋暮らしの熊さん八さんに甘い囁きが『いい機会だから、長屋を出て新築の自宅を建てたらどう?』熊さん八さん『その日暮らしの俺達にローンを組んでくれるの?』その問いに『最初の金利は低くしてくれるよ。後で金利が上がるけど、その時には住宅価格が上がっているから、その分でカバー出来るよ』などと口説き落とす訳ですが、そもそも宵越しの金など持たない熊さん八さんです。期待した住宅価格が上がらず、金利上昇分を捻出できない、結果的に支払い不能となり手放すことになる訳です。

 此処まではよくある話ですが、時代は江戸ではなくて21世紀の米国です。熊さん八さんの借金の証文が証券化され、他の証券と合成されて、高金利金融商品として世界中に販売されているのです。(まるでコシヒカリと事故米がブレンドされたような)状態ですから、誰が、どれくらい保有しているか分からない。特に金融機関が比較的多いので、短期金融市場ではお互いが疑心暗鬼になり、金の貸し借りが滞ることになり、最後の貸手である日銀などの中央銀行が短期市場に資金を供給しているのです。

日本のバブル崩壊後、ジャパン・プレミアムなる現象がありました。邦銀の信用が低下したからです。今回は世界的金融危機ですが、米ドルの信用がプレミアムにどの程度反映されるか注視したいと。(Posted by 黒騎士 2008年10月04日)>

 「驕れる平家は久しからず」:豊かなアメリカー米金融資本主義の終焉! 

 <☆かつて自動車と言えば外車をイメージした時代がありました。国産車はショボイ、そんな感じでした。他にウィスキーもそうです。スコッチ、バーボン、ブランデーなど。バナナなど入院でもしない限り食べられない果物でした。テレビ放送が始まって55年、野球やプロレスも輸入娯楽です。日本人の生活は輸入品に価値を求めるものだったのです。
経済発展と共に輸入品への神話は崩壊しました。日本製品の高品質、それは国民性と言うより労働力の均一化、日本人のロボット化だったと。生きている人間に恰もロボットのようにベルトコンベア作業を強いた結果であると思います。

 それで思い出すのが、子供の頃に公民館で見たチャッップリンの無声映画です。あの映画が創られたのは大恐慌時代ではなかったかと。

 米国は産業が衰退。当然ながら貿易は赤字となりました。21世紀、米国を支えたのが金融だったと思います。主たる産業であるが故に、規制緩和を最も享受した、その産業の断末魔の叫びが聞こえているのです。80年代に生まれ90年代に成長し21世紀に輝かしい?活躍をした金融資本主義の終焉です。

 哲さんに以前メールしましたが、奢れる者は久しからず、です。『満ちてこそ忍び寄るぞえ月影の欠けるを知らぬ人の世なれば 』この歌は、私が世に出して初めて得た最優秀作品です。(Posted by 黒騎士 2008年10月04日)>



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Posted by 代表:岩井哲 at 21:34│Comments(8) │世界の事
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週明けの東証は大幅下落となりました。不幸な予想は当たらないに越したことはありませんが、是非もありません。先日投稿したように、下落は更なる対策を催促しています。

哲さんもご承知のように、金融資本主義が大規模な投機となったのは、証券化・デリバティブ・レバレッジの三種の神器によるものですが、世界全体で5京(けい)円強の在庫(正確には建て玉、若しくは金融商品)かあります。全てを処分した場合に実現損がどれくらいなのか?です。

豆腐屋じぁありませんが、1兆10兆の話ではないのです。兆の上の単位です。さすがに京の上はありえませんが、世界全体のGDPの数十倍であることは間違いありません。実に恐るべき数字です。

欧州でも続々と金融・不動産の大手が危機に曝されています。株価の暴落は直接金融の機能不全となり、企業の信用収縮となります。多発すれば経済の後退・不況です。

株価の下落が自分には関係ないと考えるような人は少ないと思います。日本のバブル崩壊の時は『ざまあみろ!』という雰囲気がありましたが、国民全てが何等かの影響を、損失を大なり小なり被ったことを知っているからです。

個人はどう対応すべきか?一つだけ明確なのは、嵐が近づいて来たら窓を閉めるということでしょう。とりあえず、です。
Posted by 黒騎士 at 2008年10月06日 20:26
本日一時的ながら株価が一万円大台割れとなりました。さて、七月に半世紀振りの連続下落現象が現れた、と投稿しました。値幅は小さいけれど、相場の世界で言う(小石崩れ)です。小石崩れは鬼より怖い。その後に来るのは大暴落であると古人は伝えています。大台割れが投資家に与えるのは心理的なものであり、漠然とした不安でしかありません。TVで見ましたが『株価が戻るのを待つしかありません』とか『こんなに下がるとは思わなかった』とのコメントだったと。経験から言えば、こういうコメントが多い時は下げ途中でしかありません。

いろいろな人から『これからどうなる?』と聞かれますが、不思議ながら天井と大底では取引量(出来高)が急増しますし、上下のぶれが大きくなります。これは投資家が極度のパニックに陥るからだと思います。しかし、パニックにならずに冷静にチャンスを待っている投資家がいるからこそ巨大な売りが消化される、極めて道理なのですが理解出来ないのが普通です。大切なのは、理性と度胸?そして資金です。ただ、頭と体は往々にして別の動きをするものだと。その辺りを上手くアドバイスするのが証券マンの本来の仕事なのですが。
最近は速射砲さながらに投稿しているせいか、『以前書いたよな?』とか思ったりします。不謹慎ですが、混乱を好む性格が、現状に立ち向かうべし、と背中を押しているような気がします。(株の闇路に瓦斯灯燈し迷う御方の道標)これこそ証券マンの本懐であるべきかと。
Posted by 黒騎士 at 2008年10月07日 22:36
本日、株価は瞬間1000円近く下げました。下落率では戦後の東証再開後では第三位(ブラックマンデー、スターリンショックに次ぐ)となります。本年7月に連続下落日数が記録的、それは1953年以来の出来事であったこと、奇しくも、それはスターリンが死んだ年です。スターリンの死で朝鮮戦争が終結、特需の恩恵を失う日本経済の先行きを悲観してショック安となりました。

世界同時株価下落、民間のドル調達機能停止、円単独上昇、実体経済の悪化、どこから手を入れるのか、難問題をどう撃破するのか?どんな対策が必要か?市場はそれを評価するのか?短期間に計画・実施が求められています。ウォール街の言葉に『強気でも弱気でもいい。だが、のろまは駄目だ』とあります。まさに、その通りだと。
Posted by 黒騎士 at 2008年10月08日 20:20
先程、日本を除く米欧が協調利下げとのニュース。ロンドンは下げから戻して前日と変わらない水準だそうです。ただ、利下げは一時的なアナウンス効果でしかありません。結束を示した点は評価されるでしょうが、売りたい投資家にとっては(時間稼ぎ)になったかと。日本がゼロ金利という異常な政策を採用したにも関わらず(失われた10年)を経験したこと、株価も同様に下落したことを考えれば分かるはずと。一つ証明したのは『彼らはのろまではないが、歴史に学ばない愚者である』ということかも。明日以降、意味のない金利比較で円が上昇しないことを祈ります。
Posted by 黒騎士 at 2008年10月08日 22:00
昨日、社内での会話です。ある人が『厳しい下げですね。自社株も随分下がっているけど』答えていわく『日経先物がオーバーショートしているみたいですね。多分、明日は売りすぎの戻りが入るから午前中は上げて、午後から波乱という展開じゃないかと』結局予想通りでしたが、その人は余りに上下動するので見送ったそうです。儲けたいと思う気持ちは分かりますが、儲けという字は信じる者と書きます。己を信じることが出来るかどうか、なのです。相場では他人を信じてはいけません。意見を聞いたり参考にするのはいい、でも自分の判断で行うべきものです。

今日も株価が気になる社員が多かったらしく、携帯をチェックしている姿が目に付いたそうです。相場は値段よりも動きであり、その極意は陰陽を見極める感性です。恰も月の満ち欠けのように。変化は身近にありふれています。新聞でさえ見る人は多いけれど読む人は意外と少ないように。
Posted by 黒騎士 at 2008年10月09日 22:45
哲さんが以前から懸念されていた実体経済への不安が表面化しつつあります。この手の恐怖感は凄まじい伝染力があります。高度の警戒が必要です。

GMの破綻不安が伝えられて米国株価が8500ドル台へ急落しています。私はスイスのUBSが、投資銀行の大手です、ひょっとすると焦点となるかも知れないと考えています。何等動向というかニュースがない、音信なきは元気な証拠、ではないのでは。米国は(魔女狩り)と言いましょうか、危ない企業探しに躍起なのでしょう。これは日本でも同様の現象が見られました。元々認識されていた小さな不安に油を注いだ、それが津波の如く何度も襲ってくるのです。

片や東証では不動産の上場投信、リートです、が破綻しました。この分野では初めてです。1月にリートのリスクを知人と話したことがありますが、とうとう現実となりました。米国大幅下落と重なり合うタイミングとなります。プロは週末の持ち玉を基本的に解消又はイーブンにするものです。明日を期待しない、信じない(明日思う心のあだ桜)ということかと。
Posted by 黒騎士 at 2008年10月10日 06:53
全ての証券マン諸君!この5営業日は実に長い日々であったと思います。諸君のストレスは如何ほどであろう。しかし、それ以上に貴方達の顧客は悩んでいるのです。諸君は顧客を守らなければならない、それこそが職務であり、貴方の維持すべきプライドなのです。諸君は日々価値が変わる相場と戦うのであるけれど、時に利あらず貴方に対する顧客の評価もその結果により一変することがあります。諸君は市場、会社、顧客との狭間で自分や家族と共に生きていく術を備える必要があります。同時に貴方は誰に、何に、対して忠実でなければならないかを考えるべき時期かと思います。全ての証券マンにとって、今週がその意味で考える機会を与えられたことは幸いであったと信じます。自動販売機の如きネット証券とは違う、生きた人間として、プロとして、です。
Posted by 黒騎士 at 2008年10月10日 22:13
昨日のNV市場は7000ドル台まで下げた後に戻り始め8400ドル台で終りました。罫線で見ると非常に長い(下ヒゲ線)の出現は投資家のセリング・クライマックスを窺わせるものです。昨日、日本でも先物にサーキット・ブレーカーが発動されました。米国株の下落・上場投信や生保の破綻、それにSQ決済が、偶然ではあるが悪材料が重なった結果でした。

大手証券のコメントは『市場は崩壊しており、今後を予測することは困難』とのこと。往々にして、市場関係者が悲観的であれば、一時的であれ(意に反して相場は反発)するものです。絶対という言葉は業界において禁句ですが、あと8000円しか下げない、可能性としての値幅であり、これが絶対なのです。平均株価のゼロ以下はないのです。そんな無茶苦茶な!というかも知れませんが、尋常ならざる局面で、普通の常識では判断を誤ります。腹を括れば、下落の恐怖感に支配されないものです。余談ながら、今晩NHKで(世界金融危機)の特集番組が放送されます。裏読みすれば特集を組めるだけのネタ(既に周知された事実や現実)が揃ったことを意味しています。これを業界では(後講釈) と言います。俗にいう葬式の席での医者話です。
Posted by 黒騎士 at 2008年10月11日 08:27
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