スポンサーサイト

上記の広告は90日以上記事の更新がないブログに表示されます。新しい記事を書くことで、こちらの広告が消せます。

  

Posted by チェスト at

2009年02月01日

日本のゼロ金利政策が世界金融恐慌の温床だった!ー因果はめぐる

 ★サブプライム問題ーリーマンショックと、あたかも米欧金融資本の強欲の果ての自己破綻がすべてであると、世界中を覆い尽くす金融恐慌の震源地は米欧自身以外にないかのように喧伝され理解されてきた。

 ★だが待てよ。強欲に突き動かされ、「金融工学」などとあり得るはずもない”騙しの手口”を偽造し、”空中楼閣"の如き巨利・暴利をむさぼって来たのは、紛れもなく米・欧の一部の金融資本家たちであったとしても、その彼らに元手となる運用資金を提供してきた者達が必ずいる筈だ。

 ★それは、前米財務長官・ポールソンが、退任間際の雑誌インタビューで、「中国の元と中東のオイルマネー、更に超低金利の円がアメリカに流れ込んでバブルを作った」(日刊ゲンダイ1/30号より)と語ったように、悪いのは自分たちだけでないという悪あがきの自己弁護そのものであったとしても、この発言は事の真相をはしなくも言い当てていると言わなければならない。

 ☆2007年1月24日の「読売新聞」は以下の記事を伝えている。
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/mnews/20070124mh09.htm

 ☆この中で、2007年1月24日の時点で、「外国為替市場でじりじりと円安が進んでいる。23日の東京市場は2002年12月以来、約4年ぶりの円安水準である1ドル=121円75銭まで下落した。」・・・「円の対ドル相場は昨年5月に一時1ドル=109円台をつけた後、ほぼ一本調子で下落している。大手製造業が採算ラインとする06年度の為替レート(114円04銭)より大幅な円安だ。」・・・「ドルやユーロなど世界の15通貨に対して円の総合的な強さを示す実質実効為替レート(73年3月=100)で見ると、現在の円相場はほぼ21年ぶりの円安水準と言える。」に注目したい。

 ★今日、円高ー販売不振にのたうち回っている日本の大手製造業は、日本の円安誘導政策により大きくその業績を伸ばしてきた面を否めない。

 ☆ところが、その円安政策の背面で進行していたのが、欧米ヘッジファンドなどの暗躍であり、円キャリー取引の隆盛であった。「円安要因として注目されているのが、円キャリー取引だ。機関投資家などが、主要国で最も金利が低い円を国内の短期金融市場などから借り入れ、外国為替市場で金利が高い国の通貨に替えたうえで、その国の株、債券、原油、金などで運用する仕組みだ。円から他通貨に替える際に大規模な円売り圧力が働く。」・・・「この金利差に目を付けたヘッジファンドなどが円キャリー取引を活発化させているが、日銀も詳しい実態は把握していない。ただ、ヘッジファンドなどが外資系金融機関を通じて大量の円を調達していることが、円キャリー取引の増大傾向を示すとの見方もある。日銀によると、06年12月に外資系金融機関の日本支店が国内の短期金融市場から調達した円資金は約6兆3580億円で、05年12月に比べて約4兆2000億円も急増している。」

 ★日銀も把握しきれない大規模な資金移動ー資金運用が、世界経済を混乱させる懸念は既に当時から、あるいははるかその以前から指摘されていたのだ。

 ☆「円キャリー取引による資金は、貿易などの実需を伴わない逃げ足の早い資金だ。内外の金利差縮小や外貨建て資産の暴落などをきっかけに、一気に資金が逃げ出し、市場が混乱する恐れも強い。資金は欧米だけでなく、アジアや中南米など新興市場国の株式や商品市場などにも流れ込んでいると見られ、動向次第では世界の金融市場を不安定にさせる懸念もある。」

 ☆こうした懸念に対し、当時の「日銀の福井俊彦総裁は18日の記者会見で「日本の金融政策が市場をかく乱させる影響を及ぼしているとは認識していない」と述べ、日本の超低金利が円キャリー取引を通じて世界市場の混乱を招くとの見方を否定した。」 という。

 ★しかし、その20ヶ月後の現実は、「世界の金融市場を不安定にさせる懸念」どころではない、恐るべき巨大な「世界金融恐慌」→「世界経済恐慌」にまで発展しつつあるのだ。

 ★日本は、欧米ヘッジファンドに巨額の円資金をゼロ金利で供給し、一方で、ドルと米国債をすさまじい勢いで買い増してきて、昨年12月末時点で、日本の外貨準備高は100兆円以上である。こうして世界中からアメリカに資金が大量に集中し、穀物高騰を促し、サブプライム・バブルを助長し、この米経済の活況を背景に、ブッシュはイラク戦争の戦費調達が可能になり、日本の製造業の業績も伸びる。加えてドルが強くなれば、日本にとっては円安だから、輸出産業大手にはダブルの経済効果となって跳ね返ってきた。日本政府は、売ることも出来ない米国債を日本国民の税金で大量に買支え、”強いアメリカ”・”強いドル”の演出に一役買い、米欧日のバブル経済を底上げし、世界経済と自国民を欺き続けたのである。

 ★小泉政権下の”外需拡大"”輸出総額の倍増"とは、実はこのような仕掛けであった。円安差益を追い風に、大企業は業績を回復し、トヨタやキャノンなど経団連の主要企業が、空前の史上最高益を更新し、16社で33兆円の内部留保を享受してきたのには、このような根拠と背景があったのであり、この”空中楼閣"が、リーマンショックの一撃により、あっという間に吹っ飛ばされたのである。

 ★この流れを大きく推進したのが、「小泉構造改革」に他ならなかった。安直な円安政策でブッシュに媚びを売り、アメリカの金融バブルを助長し、イラク戦争を拡大させ、日本の輸出大手製造業だけを潤わせ、見せかけの「景気拡大」を演出し、その一方で、従業員は給料を抑え込まれ、派遣労働の拡大で「格差社会」が深まり、地方経済は疲弊し、内需は極端に縮小してしまった。

 ★この経過と今日の惨状を抜本的に総括し、アメリカ一国依存からの脱却ー為替変動に振り回されない内需中心の経済への転換への絶好のチャンスとして活かすことしか日本の活路はないと、深く自覚すべきであろう。だが、阿呆太郎ー自公政権にその判断能力も反省する力も、日本を立て直そうという気概も、政治家としての矜恃も微塵もありそうには見えない。自公政権の腐敗・退廃ここに極まれり!である。即時、総選挙ー政権交代を求める! <哲>

  


Posted by 代表:岩井哲 at 11:56 │Comments(2) │世界の事