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Posted by チェスト at

2008年07月06日

「老齢加算」に果たして存在意義はないか?

 <「70歳以上の人が60代の人に比べて消費が少ない」とは何を根拠に言えるのだろうか?医療費等を考えれば、逆ではないのか?」・・・生活保護の場合、医療費は全額医療扶助で賄われるため、医療費の負担増を考慮に入れる必要はありません。また、そもそも今回の判決は老齢加算廃止の妥当性を争ったものであるのですから、社会保障費の削減にからめて論じるのは不適切ではないでしょうか。(国の財政が豊かで、社会保障費の削減という課題がなかったとしても、存在異議(ママ)に疑いのあるものについて廃止を検討するのは当然)ーPosted by 名無し at 2008年07月04日 06:15>

 以上のコメントが、6月26日の<哲>の投稿に対し、一昨日、「名無し」さんからありました。以下、その内容について出来る限り検討して行きたいと思います。

 ☆2003年8月21日の<三菱総合研究所 医療福祉システム部 赤木 匠>さん署名の記事は、以下の論文を掲載しています。 

生活保護における医療扶助の現状と課題                          
              
 医療扶助は生活保護法第15条に「困窮のため最低限度の生活を維持できない者に対して給付」 と規定されている。医療保険では原則3割の自己負担を要するのに対して、医療扶助においては原則全額を公費として措置(支出)される。

 国民医療費は平成13年度31兆3234億(前年対比3.2%増)となっており、その支出削減は社会保障改革や税制改革と合わせて喫緊の課題となっている。医療扶助は同年1兆円を突破しており、平成2年度以降は年平均3.9%と毎年上昇している。また平成8年度以降は、医療扶助は医療費の対前年度伸び率が国民医療費を約2%程度上回っている。

 医療扶助の入院患者の特徴として挙げられるのは入院患者に占める"精神・行動の疾患"の患者が過半数を占めていること(入院日数ベース)、施設での入院期間が5年以上の長期患者が多いことである。これは医療扶助がそもそも生活困窮者のための医療給付であることから、無年金の高齢者や住居を持たない者の宿泊機能の代替として施設がその役割を担っているとも考えられる。また精神疾患の罹患については、失業等による経済的困窮との関連も考えられる。     (中略)

 医療保険と同様に、通院回数が多い外来患者へのケースワークや保健活動を充実させ受診の適正化を図る必要があると思われる。また精神疾患で長期入院している患者については退院後の受け皿整備(社会復帰施設の整備等)も重要な政策の一つになるものと思われる。 (当コラムの見解は、必ずしも当社の公式見解を代表致しません。)>

 ★生活保護の「医療扶助」については、確かに「名無し」さんのご指摘のように、「医療費等を考えれば、逆ではないのか?」という<哲>の指摘は、「医療扶助においては原則全額を公費」支出とされていることから、明らかに「誤り」=<勇み足>なので、お詫びと共に、ここに撤回致します。「名無し」さん、ご指摘ありがとうございました。尚、ここで、赤木論文に見るように、その「医療扶助」の金額が、既に2007年段階で、1兆円を超えていることはしっかりと見ておかなければならないと考える。

 ★次に、同じく「名無し」さんご指摘の生活保護の「老齢加算」問題について考察して行きたい。

 ☆本年6月26日の「毎日新聞」は、以下の記事を伝えています。

老齢加算廃止 原告の取り消し請求を棄却 東京地裁
                     
老齢加算は、高齢者には消化に良い食べ物や暖房が必要で、墓参りなど社会的費用もかかるとして1960年に創設された。対象者は約30万人。原告は月額1万7930円を受給していたが、04年度9830円、05年度3760円と段階的に引き下げられ、06年度に全廃された。

 ◇小泉改革で決定、母子加算も全廃

 老齢加算は「小泉改革」で社会保障費の抑制論が強まる03年末、厚生労働省の生活保護に関する検討会の提言がきっかけで廃止が決まった。その流れで一人親や両親不在の世帯を対象にした母子加算も、05年度から段階的な減額が始まり、来年度には全廃される。

 両加算の撤廃は「(生活保護を受けない)低所得世帯の方が受給世帯に比べ消費支出額が少ない」との検討会の提言が根拠。今回の判決は、家計調査をもとに生活保護世帯を「低所得層より豊か」と位置付け「生活の最低基準」までも相対比較で切り下げる厚労省の方針に沿った内容になった。厚労省の江利川毅事務次官は26日の会見で「生活実態に合うよう制度設計をしてきた政府の方針が基本的に認められたと考える」と判決を評価した。

 ◇原告団長・横井邦雄さん(79)「年寄りに早く死んでくれと言わんばかりです」

 横井さんの毎月の収入は生活保護費の約7万5000円のみ。老齢加算の廃止で年20万円以上がカットされ、おかずを2、3回に分けて食費を切り詰める生活が続く。「結局は食費を削って寿命を縮めている。見舞いや葬式も不義理にしてしまい、心に痛みが残ります」と語った。

 ◇解説…生活実態調査、判決も「強く要請」

 東京地裁判決は憲法が保障する生存権の侵害は否定したが、生活保護を受ける高齢者の不自由さも指摘した。財政難を理由に社会保障費を安易に削る行政の動きにお墨付きを与えたわけではなく、厚生労働省には生活保護の理念と生活実態に即したきめ細かい制度運用が求められる。

 生存権が争点になった大型訴訟は、1960年の1審判決で低すぎる生活保護基準が違法とされた「朝日訴訟」以来。2審で逆転敗訴したが、基準はその後向上した。しかし、緊縮財政が続く中で老齢加算が廃止され、再び生存権の問題が浮上した。

 全日本民主医療機関連合会によると、老齢加算の廃止後、5割超の世帯が食費を切り詰め、約4割が洋服を全く買っていない。聞き取り調査をした社会福祉士らは「付き合いを控えて孤独感が強まり、惨めな思いをしている」と口をそろえる。>

 ★「名無し」さんいよれば、「老齢加算廃止の妥当性を争ったものであるのですから、社会保障費の削減にからめて論じるのは不適切ではないでしょうか。」と言われますが、上記の記事によれば、ことの経緯は「老齢加算は「小泉改革」で社会保障費の抑制論が強まる03年末、厚生労働省の生活保護に関する検討会の提言がきっかけで廃止が決まった。」とありますが、どうなのでしょうか?そもそも、生活保護費が総体として「社会保障費」の枠内にある以上、議論として、「社会保障費の削減という課題がなかったとしても」という「仮定」自体に無理があると言うべきではないでしょうか?政府がどう言い繕おうと、明らかに社会保障費の削減の一環としてのこの間の「老齢加算廃止」ということは前提として考えなければならないと思います。

 ★すると議論は、「老齢加算自体の意義」があるのかないのか、ということになって来るだろうと考えられます。「名無し」さんは、「意義がない」と断じておられますが、果たしてそうでしょうか?「横井さんの毎月の収入は生活保護費の約7万5000円」と知った上で、「名無し」さんは「月額1万7930円」は「不要」と仰るのでしょうか?それは「高齢者には消化に良い食べ物や暖房が必要で、墓参りなど社会的費用もかかる」という1960年の制度創設の趣旨にさかのぼり、かつ同年の「朝日訴訟」にまで立ち返って「老齢加算」の是非を吟味し直すことにならざるを得ないということになりますが、果たして「名無し」さんは、そこまで踏み込んでお考えでしょうか?これは必然に憲法25条論議になっていきますが、そのお積もりでしょうか?

 ★そうであるのかないのか、議論の前提が大分異なってきますので、まず入り口段階で教えて頂きたいと思います。

 ★それらの議論のべーストして、私は記事にもまたこの間のテレビにもよく登場する「江利川毅事務次官」なる人物の収入を見ておきたい。

<2001年8月8日(Wed) 国家公務員一般職の給与 

 人事院が2001年度の国家公務員一般職の給与について基本給の改定は見送り、民間の給与に当たる期末・勤勉手当を0.05ヶ月減らすように国会と内閣に勧告したようです。

  年間給与額
係長(25歳、独身) 315万円
係長(35歳、配偶者、子1) 552万円
係長(40歳、配偶者、子2) 617万円
本省課長(45歳、配偶者、子2) 1,182万円
本省局長 1,957万円
事務次官 2,570万円 >

 ★7年前の段階で年収2570万円の人物が、(約30分の1の)年収90万円の生活保護者達に向かって、冷然と「生活実態に合うよう制度設計をしてきた政府の方針が基本的に認められたと考える」と突き放したのである。これが厚労省官僚の冷血無惨な実態である。「年金問題」、「後期高齢者医療問題」などと合わせて、とくと脳裏に刻み込んでおきたい。 <哲>
  


Posted by 代表:岩井哲 at 20:49 │Comments(2) │日本の事

2008年07月06日

ブログを活用して、国政を変えてみませんか?

先日は、一つの記事に8千件以上のアクセスが本当に有りました。
<哲>さんが思いの丈を包み隠さずに突っ込んだ投稿に、全国の皆さんが反応したようです。

何が「労働者派遣制度」の問題点か? 2008/06/17 の記事ですが、ヤフーニュースにも取り上げられて、全国区からのアクセスが有りました。ただ、それに対するコメントやメールは数件でしたが、実際の変革は、沢山の人に読んでもらえる事から始まるんだと思います。
http://yonaoshitai.chesuto.jp/e54053.html

本当に建設的な意見の応酬が大事な事で、一部の密室で数人で決めたことが一億の国民の生活に直結するような大切な法律の問題点を、平気で国会可決するような仕組みだと言う事と、一度可決された法律が間違いだらけで有る事が判っても、廃止して作り直す事に対してはものすごい抵抗と引き伸ばしに会うことが判ってきました。

一つには国民の生活に直結する大事な事ほど、政局がらみに成って、与党も野党も面子に拘り一歩も譲らない事があり、また一つには、霞ヶ関の官僚の書いた法案をなかなか変更出来ない、現在の政治家の弱腰に有ります。全てはどちらも「お上」から禄高を頂いて生活している役人と政治家の馴れ合いの構図を、私たち有権者が黙って許してきたからに他なりません。

誰でもどんなに気をつけていても、一寸した油断から風邪を引いてしまう事が有りますが、手遅れにならないうちに病院に行ったり手当てをしたりしなければ、風邪は万病の元で命取りになります。
現在の国政の状況は、その風邪の初期症状とは違い、もしかしたら癌の初期症状のようなものかも知れませんので、早期検診と早期治療は絶対に欠かせないのではないでしょうか?。

お願いしたいのは、現状を良く見ることと、その現状の問題点をもっと沢山の、今も気付かない人たちに正しく伝えて欲しいのです。

戦争で負けて外国の統治に成ってから日本が変わるようなことは、二度と避けたいとは思いませんか?。
今度は武力による戦争ではなくて、諸外国を取り巻く経済戦争あるいは自然環境戦争に成っています。

明治維新のときがそうだったように、民意が変われば政治が変わり、政治が変われば世の中は変わります。
城の中で贅を極めながら、変革を恐れる一部特権階級に居座ってのさばっているの卑怯な臆病者達に、一刻も早く事態の深刻さを理解して目覚めさせるように、私たちは城の外からでも大声を出して誠意を持って叫ぶしかありません。

明日(7日)から始まる洞爺湖サミットでも、やっぱりアメリカの金儲け主義のエネルギー政策を後押しするだけの日本の政府陣だとしたら、かつての明治後半まで続いた不平等条約に真っ向から挑んだ小村寿太郎のような人財は、日本の政治家には一人もいないと言う事が実証されるだけだと思います。
結果は大体想像が付きますが、またもやがっかりさせられる内容に落胆しないように気を引き締めるだけです。

このブログを読んだ皆様には、ぜひともご意見を頂きたいと思います。
最後まで読んでいただいて有難う御座います。 <風>  


Posted by 代表:岩井哲 at 08:40 │Comments(2) │日本の事